business boy

文章にイラストを添えた何かをかいていく予定になっている場所です

となりの芝生は本当に青い

f:id:sunaong:20161005005119j:plain

庭の水撒きをするように奥さまにいわれて、雨がザアザア降ってるなか、濡れながら庭に水を撒かれたとか‥‥。と、京極夏彦荒俣宏について語ったエピソードがある。撒かれた水は、降られる雨によってなかったものと同等になる。構造的に「降られる雨」の中に「撒かれた水」があって、撒かれた水は降られる雨によって隠される。(逆に、降られる雨は撒かれた水によって隠されることはないはずだが、その構造が逆転する世界もどこかにあるかもしれない。すなわち「撒かれた水」によって隠される「降られる雨」である。)

このような「隠された構造」はいろいろなところにおいて隠される。たとえば、黒の中にはグレーが隠されていることがある。100% BLACK のこともあれば、うすい GREYが天まで昇ることをめざした力士たちのように重なりに重なりを重ね、100% BLACK になっていることもあるだろう。それはPSDデータを見てみない限りわからないことかもしれない。しかし、そこには確かに、わからないのだけれど、それはある。

暗闇の影のように、「噛」に隠れた「歯」のように、「歯」に隠れた「米」のように、「二」に隠れた「一」にように、それらは構造によって隠される。「肉」の中には「人」が隠れていて、僕たちは人である前に肉であり、肉と肉が肉しれず朝のあいさつをする。人道ならぬ肉道。それはきっと人も犬も猫もかえるも一緒だ。

先日、彼は「となりの芝生は青い」と言われたそうだ。となりの芝生の青とは、正確には青ではなく、青く見えているという意味だ。だから本当は青くないということだ。しかし、もしかしたら、そこには、実は、青が存在している可能性があるのではないか。「となりの芝生は青い」→「青くないことに気づく」。この芝生が青く見えた→青くなかったという転倒のせいで、青くない芝生が青く見えてしまったという錯覚だけではなく、本当は「かすかに青かったかもしれない芝生」すらも青くないように見えてしまうという、二重の錯覚を生んでいる可能性がある。

青く見えるとなりの芝生 / 青くない芝生

この間の「/」には「青い芝生」が隠されていた可能性がある。その芝生をとなりから見てしまったせいで、それは青く見えてしまい、当の芝生におりたったとき、それを青くないと「錯覚」し、そして結果的に本当の青を見逃すことになる。「となりの芝生の青」のせいで割を食ってしまった青が、そこにはいるのではないだろうか。わたしはその「かすか」ではあるが、「はかない」わけでもない、ただ、そこにしみじみとある青のことをもっと知りたいと思う。となりの芝生は青く見えて、本当に青いのかもしれないということを、もっと知りたいと思う。わたしがとなりの芝生の青に嫉妬を感じるように、そこに隠されている青も、虚構なる芝生の青に嫉妬を感じているかもしれない。